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額について。

額というのは不思議なものだ。

ただの折り込みチラシなんかでも、
額に入れるとちょっと格が上がったような感じになる。
四角に囲まれてガラスに閉じ込められると
なんだか貴重な感じになる。
なんてことのない、というよりむしろ汚いような
古材を四角に組むと、不思議と面白いものになったりする。

これまでボチボチと作ってきた額を
いまは短期間に集中してたくさん作っているので
余計にいろいろ考える。

この間借りてきたゲンペイさんの本『四角形の歴史』にも
四角形の面白さ、不思議さが書かれている。

「人間は四角い画面を持つことで、はじめて余白を知ったのだ。
その余白というものから、はじめて風景をのぞいたらしい。」


市販の一般的な額は、細い木でできていて
ほとんど主張をしないつつましいものが多い。
反対に私が作る額は、主張が強く、中に入れるものの事は
あまり考えていないことが多い。
というよりも、額に合わせて中身を考えてもらっているような感じだ。
買ってくださる方々もそれを楽しんでいるように思える。

額は、ややこしい加工を必要とする家具類と比べると
パパッと作れる即興性が楽しい。

無垢材の額はお刺身のようなものだ。
その材料の一番おいしいところを見極めて
四角く調理する。
いや調理というか、お刺身だから
切って並べるだけに近いか。
オイルを塗って木目を味わう。

古材の額は下ごしらえが大変だ。
解体、ほこり取り、洗い。
長年のシワを刻み、この世から消えようとしていたジジババを
いまいちど最期の晴れ舞台に立たせる感じだ。


額という字には、「金額」というように
分量を示す意味もある
作った額には値段をつけなくてはならない。
額の額に悩む日々・・・。

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