大友良英さん。
原宿で開催されている「ENSEMBLES 09 休符だらけの音楽装置」展〈without records〉に、行ってきた。
なんというか、久しぶりに、ずっといたい空間、というか、そういう展示だった。
100台ぐらいはあろうかという古いポータブル・レコード・プレイヤー。
電球。
音。
人。
それ以上でも、以下でもない空間。
原宿駅から「竹下通り」を通って
この「Vacant」という会場に到るところがまたいい。
音楽というものも、突き詰めれば、音源と、空間(空気)と、人の鼓膜。
そんな風に考えたこともなかったけど、
それに対する大友さんの言葉が響きます。
「鼓膜を直接揺らす音楽。スピーカーと鼓膜の間には空間はおろか空気すらほとんど存在しない音楽再生装置。これ、誰もが普通に使ってる小さなプレーヤーとイヤフォンのことです。僕らは今現在そんな音楽と音楽装置に普通に囲まれて生きています。
まわりにあるはずの空間をないことにして、耳に心地よく直接響く音楽。でも、オレそんなものを作りたくて音楽をはじめたんじゃないんだけどなあ。2008年山口のYCAMでやった巨大展示「ENSEMBLES展」の根幹になるアイデアは、この大きなクエスチョンマークからはじまっています。
自分以外の人間がたくさんいるところに、わけがわからない音が鳴り響いて波紋を投げかける。私が十代のころに、人生が変わってしまうくらい音楽にとりつかれたその根っこにあるのはまさにこれです。フリージャズ、即興演奏、ノイズ、オルタナティヴ・・・・わたしが大好きだった音楽は、みんなそんな音楽たちでした。それは単に音楽だけじゃなく、そこの場のもつオーラや現場の力、そしてそこに集まる人たちの引力の中で、渾然一体となって響くような、そんな類の魅力でした。
鼓膜と発音源の間になんの空間もない音楽のあり方ではなく、空間やノイズをもう一度とりもどすこと。自分一人の音楽ではなく、多くの人々の耳を、手を、体を通過する中で見えてくる音楽を今つくるとしたらどういうものになるのか。こうしてENSEMBLES展ははじまりました。・・・・・」
『休符だらけの音楽装置宣言』 大友良英
(2009年4月18日・パンフレットより冒頭部分)
すごーく面白かったです。
チビ丸も面白がっていました。
ご興味のある方はぜひ。
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