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ほとぼり。

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●「ほとぼりが冷める」という言葉がある。ほとぼりとは「火を消した後の余熱」とある。ニュースで「炉心溶融」という言葉を聞くたびに、この「ほとぼり」が頭に浮かぶ。勝手なイメージとしては、線香花火の落ちそうで落ちない火玉という感じ。地震以降、日本中がこの「ほとぼりが冷めるのを待つ」ている状態だが、なんだか第三者的な、無責任な感じのする言葉でもある。3週間が経とうとしているけれど、私たちは間違いなく当事者であることを忘れてはいけないと思う。

●計画停電。いきなり暗くなるとこどもは怖がる。本当の暗闇というものが、実は日常生活からは消えている。電気を消しても、どこかで明かりがついているのだ。真の暗闇は、大人でも怖い。それにしても、停電が思ったよりも実行されないので、なんだか複雑な気持ち。

●いろいろ考えていても仕方がないので、ジャガイモ植えつける。落ち葉や野菜クズなどで堆肥を作るための木箱も、ずっと前から作りたかったので、思い立って本日製作、本日完成(笑)。今まで穴を掘って土を盛っていた所には丸々としたカブトムシの幼虫がいた。

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仕事する。
黙々と。淡々と。
なんてカッコいい感じにはならない。
春休みで工房の周りをチビたちがウロウロ。
そんな状況だけど、仕事ができるということは
とてもありがたいことだなぁと実感。

天気がよい。
気温が高くなってくると、気持ちがほぐれる。

1年365日。
手がかじかんで動かない日もあれば
あまりの暑さで頭がぼうとなってしまう日もある。

今日みたいなほどよい日というのは、実は少ないのではないか。

夜の森。

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ウチから目と鼻の先にある町立の公共施設に
福島県富岡町の住民の方が数十人避難してきている。
わが杉戸町と友好都市協定というのを結んでいる関係で、だそうだ。
私は施設に入ってはいないので、実際の避難生活の様子を
見たわけではないけれど、近所の商店では被災者の方々へ用意された
衣服や物資がダンボールに入って「どうぞ」というかんじで並べられていた。

富岡町は福島第二原発を抱える町である。

地図を開く。

町の北部に常磐線の駅「夜ノ森(よのもり)駅」がある。

夜の森、である。

こんなにすてきな名前の駅が、ふたつの原発のちょうど中間に位置しているのは
単なる偶然だろうか。
(そしてなんとイサド的な、というか、宮沢賢治的な響きのする駅名だろう)

周辺には他にも「双葉町」「楢葉町」「常葉町」と、地名を見るだけでも自然が
そして緑が大変に豊かなところなのだろうと想像がつく。

また、そういうところだからこそ、原発が建てられたのかもしれない。

「夜ノ森駅」は、問題の第一原発から6キロほどしか離れていない。

人の気配の消えた夜の森の静けさは、どんなものだろうか。

いつか、生きている間に、夜の森に行ってみたい。
そして何よりも、富岡の方々がこんなに遠いところではなく
住み慣れたふるさとで、あるいは近いところでふたたび静かに暮らせるように。

そんなことが、私のささやかでリアルな願い、であります。


(写真は夜ノ森駅。インターネット上から引用)

あかし。

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「かわったといえばあかしもずいぶんかわった。わしら子供の頃にはまだトウダイをつかっておった。そのまえは手燭というのがあった。木を輪切りにした台に、鉄の皿に脚のついたものをさし込んで、皿の上で火をたいた。トウダイというのは、脚の下が箱になっていて、そこへ肥松(こえまつ)を入れるようになっておりました。アカシワリチョウナやアカシワリヨキで松の根や節をこまかく割ってたきました。暮しのよい家が行燈(あんどん)でありました。この村で蚕をかいはじめたころはまだトウダイであった。それがカンテラになったのが明治二十五年で二分芯でありました。蚕を飼うにはトウダイではどうも都合がわるかった。ランプは明治三十年頃から。カンテラがはいって間もなくでありました。そのころユルイも急になくなりました。それまでどこの家でも台所にユルイがきってあって、天井から大きな自在鈎が吊りさがっておった。それがほんのわずかのあいだにコタツにかわりました。」


「名倉談義」『忘れられた日本人』宮本常一(岩波文庫)

ユルイって、何だろう。

揺れる。

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ぼくはこわい。

とてもこわい。

大事なものを失うのがとてもこわい。

あの日以来、心臓の鼓動は激しく打ち続け

じっと落ち着いていられない。

いてもたってもいられず、にげだして

そして、すぐにかえってきた。

自分の家はここなのだ。

ひとつの情報、ひとつの言葉、

繰り返されるひんやりした映像。

僕はこんなにも自分を見失うとは思わなかった。


はやく明るい光が差してくることを

ただただ祈るしかない。

いま私の後ろでは熱の下がらない長男が寝ていて
隣の部屋では1歳の次男もやっと寝ました。
妻は奥の部屋で防災頭巾をぬっています。
ネコたちはコタツで丸くなっています。
周辺ではいろいろ動いているのかもしれませんが
テレビもラジオの音もなく
ここはいまとても静かです。

そして、遠くでは戦っている人たちがいます。


*****


群馬県大泉町のスペース結さんで開催している個展「木のはなし」ですが
地震の後も買ってくださった方がいたようで、なんとも言葉になりません。
17日までの開催期間について、ギャラリーの久保田さんと電話でお話しましたが
当初の予定通り、最後までやることに決めました。17日は私がいる予定でしたが、
車のガソリンが心配なことや交通状況などにより、行けなくなってしまいました。
残念というか、申し訳ないです!


*****


「アレクセイと泉のはなし」という本を読み返しました。
チェルノブイリから180キロ離れた村に湧く泉のはなし。

希望を持とう。

ふう。

長男が起きた。

地震。

イサド家はみんな無事であります。

いかんせん古い家なので
屋根の一番上の部分が壊れてしまい、
当面修理ができないので自分ではしごをかけ
シートをかけたり土のうを作って運んだりと
とにかくは目の前の自分の家のことをやっていました。
工房は材木が何本か倒れただけでしたので
仕事は問題なくやれています。
何人かの方から心配のメールをいただきました。
本当にありがとう。

日を追うにつれ、事態は深刻の度合いを深めてきました。
これ以上ひどいことにならないことを祈るしかありません。
私は自分のやれることを精一杯やっていこうと
思っています。

大泉町にて・その2

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三月九日

 

別人だった

そっくりの手袋をしていたが

そっくりの帽子をかぶっていたが

停留所で挨拶をしていた人は

別人だった

今はもう確信をもって断言できる


 


谷川俊太郎「詩めくり」より

 
 
  

谷川さんのすばらしい詩で、他に余計なことは
いらないと思うけれど、そういうのはずるい、という考えもある。

 


自分の言葉を。


 

****

 

最近驚いたこと。

先日初めて訪ねた材木屋さんの社長さんが
元プロ野球の選手だったこと。
春日部木材の会田照夫さん。
ヤクルトで活躍。写真が飾ってあった。
びっくりした。
別人のようだけど、同じ人だ。
息子さん(三男)も元巨人投手。
親子で下手投げ。
再びびっくり。
元埼玉県警の次男さんが家業を引き継いでいる。
がんばれ~。

大泉町にて。

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三月八日
 
 

よく見るとわずかに違っていて

そのわずかな違いがまた新たな

わずかな違いをたえまなく生み出している

というふうに万物は

何ひとつ同じではないといえよう
 


谷川俊太郎「詩めくり」より

はじまりました。

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前の晩にちょっと飲みすぎてしまい
二日酔いの初日でした(反省)。

はるばる東京から来てくれた方もいたりして
感動しました。
ありがとうございます。

今日は早く寝ます。

木のはなし、じゃない話。

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●確定申告がやっと終わり、ホッとしたら疲れがどっと出た。
引っ越したので税務署が変わったが、この時期はどこの税務署も
そしてその周辺も大賑わいだ。いっそのこと出店屋台でも出せばいいのにと思う。
それにしても昨年は骨折やら引越しやらいろいろあったなぁ・・・。

●年末に長年愛用してきたデジカメが壊れて、新年から新しいのを使っているが
なんだか機能がいろいろありすぎてうまく使いこなせていない。
説明書もややこしくて読む気がしない。いよいよ年寄りじみてきたな話が。

●最近は芋から米にしている。焼酎の話ですが。
中でも「球磨焼酎」のラベルデザインが気に入ってしまって
こればっかり飲んでいる。書体が好きだ。デザインパワーがある。

●今年こそは裏庭で畑をやろうと思い、種ジャガイモを買ってきた。
いろいろ売っていたけれど、オーソドックスに男爵とメークインにした。
昨年は骨折してたから左手だけでちょっと耕して枝豆だけやったんだっけな。
夏の後半からは草ぼーぼーになってしまったけど。

●新しい鍋敷きが完成。まあ、とはいえ鍋敷きですから。地味だなぁ・・・。
でも、器とかスプーンみたいな食卓の主役ではなくて
こういう裏方さん的な道具って、けっこうキライじゃないです。
あ、結局木のはなしになってしまった。

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