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おーい でてこーい

中学生の時、姉に借りてよく読んでいた星新一さんのショートショート。
久しぶりに『ボッコちゃん』を読んでみた。
なんでも飲み込んでしまう穴の話「おーい でてこーい」が面白い。
この作品は少なくとも40年以上前に書かれている。


(前略)
 利権屋は、仲間を都会で猛運動させた。すばらしく深い穴がありますよ。学者たちも、少なくとも五千メートルはあると言っています。原子炉のカスなんか捨てるのに、絶好でしょう。
 官庁は、許可を与えた。原子力発電会社は、争って契約した。村人たちはちょっと心配したが、数千年は絶対に地上に害は出ないと説明され、また、利益の配分をもらうことで、なっとくした。しかも、まもなく都会から村まで、立派な道路が作られたのだ。
 トラックは道路を走り、鉛の箱を運んできた。穴の上でふたは開けられ、原子炉のカスは穴の中に落ちていった。
 外務省や防衛庁から、不要になった機密書類箱を捨てにきた。監督についてきた役人たちは、ゴルフのことを話しあっていた。作業員たちは、指示に従って書類を投げこみながら、パチンコの話をしていた。
 穴は、いっぱいになるけはいを示さなかった。よっぽど深いのか、それとも、底の方でひろがっているのかもしれないと思われた。穴埋め会社は、少しずつ事業を拡張した。
 大学で伝染病の実験に使われた動物の死体も運ばれてきたし、引き取り手のない浮浪者の死体もくわわった。海に捨てるよりいいと、都会の汚物を長いパイプで穴まで導く計画も立った。
 穴は都会の住民たちに、安心感を与えた。つぎつぎと生産することばかりに熱心で、あとしまつに頭を使うのは、だれもがいやがっていたのだ。この問題も、穴によって、少しずつ解決していくだろうと思われた。(後略)

新潮文庫・星新一『ボッコちゃん』 「おーい でてこーい」より抜粋

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コメント

うちにもありますな。
小学生だったと思う。そうかこれも私の人格形成の一部が…??
でもうちの弟は読んでなかったかも。さすが本田姉弟。
久しぶりに読んでみます。
りんたにはどうなのかなあ。空想なのかなんなのか。
読後の討論会が長そう。

屋根よかったね。おうちだいじね。

いやいや。
いま読み返すと、真鍋さんの表紙や
挿絵がこれまたすばらしいですよ。
しかし、瓦直ったとたんにまた地震が・・・!
大丈夫か???

私も星新一好きです!
シニカルな感じが。
最後、空から降ってくるヤツでしたっけ??

そうそう。空からね。
私はその後筒井康隆にハマりました。

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