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額について。

201111_146

額について。
なんか前にも書いた覚えがあるなぁと思って調べてみたら、
5年前に書いてた。同じことを書かずに済んだ。


「絵画を額縁に入れてみると、同じ作品が全く違った印象を持ったものになる。額縁が付いたことで、私たちの眼は絵画の深い意味合いにまで導かれ、構図が引き締まって見えることに気づくのだ。黒い額縁であれば白を、金色の額縁なら冴えわたった青を強調する。その効果は時に絶大で、私たちはそれを「完璧な結婚」と呼ぶこともある。とはいえ、二者が対等な関係にあることはめったになく、額縁はあくまで従属品である。(中略)額縁は絵画の歴史と結び付いていると同時に、家具の歴史とも切り離すことができない。額縁がたびたび取り替えられてきた理由のひとつに、額縁というものが絵との相性だけでなく、インテリアと調和することも考えて製作されてきたことが挙げられる。(中略)つまりは作品がおかれている環境に、私たちがどれほど左右されながら絵を見ているかということにもまた気づかされるわけである。こうしてみると、美術史において額縁とは、単に絵画の縁を囲んでいる付属物に過ぎないと片付けてしまうことはできないだろう。」

                『額縁と名画』 ニコラス・ペニー著(古賀敬子訳) 八坂書房

額は常に中に入るものを引き立てるために存在するものであり、主張もするけれどそれはあくまでも職人の仕事的な主張の仕方である。上にも書いてあるとおり、主従関係で言えば「従」の製作物だ。作家は本来「主」にあたるものを製作することが本業であり、「従」にあたる額縁の製作などには魅力を感じないのが普通だと思う。とはいえ、そういって片付けられないものが、額にはたしかにある。
僕が額を作り始めた時には、中に入れるもののことを全く考えずに、ただ素材を四角に組むことで生まれる面白さに没頭していた。いままでに出逢ったことのないものに出逢っている、そんな喜びがあった。いまはもうだいぶ数も作ってきたので、これはこんな感じになるとか大体想像もつくけれど、それでも新しい素材を見つけて組むときには相変わらずワクワクする。
いまだによくわからないけど、額という存在と僕自身がとてもよく合っているのかなと、そんな風に思う。


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