冷たい感性。
ウチでとっている生協が毎月発行している冊子の裏表紙に、藤原新也さんが連載をしていていつも楽しみにしているのだが、今回は「冷たい感性」という言葉がとても響いたのでここでも紹介させていただき残しておきたい。
「(前略)築地移転問題は効率や衛生の問題からのみ語られ、文化の問題として語られることがあまりない。この風景は大正時代からの時間の積み重ねの中で生まれた風景であり、ひとたび壊した暁には二度と戻ることはない。
ひるがえって移転先の豊洲市場の風景を見ると、それは私には寒々としたコンクリートの棺桶のように見える。時代とともに風景が変わるのは世の習わしだが、この日本に限って言えば芸術的感性の乏しい優等生の官僚的主導で風景がいじられることに問題があり、そういった冷たい感性がこれまでにも日本列島の風景を寒々としたものに変えていったと私は考えている。
この豊洲の石棺に見まがう平成の新たな市場はその官僚的感性の象徴だろう。」
(生活クラブ『生活と自治』11月号より)
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